スパイス大図鑑
カレーには、実にたくさんのスパイスが使われています。
現在では、輸入食品店をはじめ、スーパーなどでも世界中のスパイスが手に入れることができます。
こちらでは、そうしたスパイスの中から、代表的なものをご紹介。スパイスの使い方を知れば、お料理はずっとおいしくなります。気になるものがあれば、早速お料理に使ってみてはいかがでしょうか?
アジョワン
インドでは最も人気があるスパイス。
セリ科の植物で、南インド原産、インドでも最も古い時代から使われたスパイスのひとつとされています。
スープの香り付けや、豆を煮込むとき、インドのテンプラとも呼ばれるタコラという料理などによく使われます。甘い香りがしますが、味が強いため料理に用いるときは使用量に注意する必要があります。
アニス
アニスは、セリ科の植物の種を乾燥させたスパイス。
スターアニスという似た名前のスパイスがありますが、こちらはモクレン科の木の実です。
甘草のようなさわやかで、さっぱりとした甘みが特徴。
ドーナツやケーキといったお菓子作りに欠かせないスパイスです。
またカレーに入れることで、カレーのしつこさを消し、さっぱりとした味わいになります。
オールスパイス
ジャマイカ原産、常緑樹の木の実を乾燥させたものです。
シナモンやクローブを連想させる甘い香りとほろ苦さが特徴。
肉料理にも、お菓子にも抜群の相性を見せ、特に煮込みハンバーグや、ハヤシライスに加えることで、やさしくまろやかな味に仕上がります。
ガーリック
ユリ科の植物の球根で日本ではニンニク。
中央アジア原産で、西洋東洋を問わず広く使われているスパイスです。
殺菌・消毒から、肉や魚介類のにおい消し、下味付けまで様々な用途で使用されます。
揚げる、すりおろす、きざむ、つぶすなど料理法によって、使い方も様々。
食欲をそそる香りと、強い刺激が特徴で、この香りと刺激の素は、「アリシン」という成分であるとい言われています。
カスリメティリーブス
フェブグリークの葉を乾燥させたもので、ミネラルやビタミンに富んでいます。
そのため、スパイスとしてよりも野菜として食べる人が多いようです。
日本では、あまり手に入りませんが、手に入れられたらぜひカレーに入れてみてください。
若々しい干草を連想させる青い香りが、カレーを引き立てます。
クミン
エジプト原産でインド、北アフリカで栽培されています。
セリの仲間でエスニックな香りの代名詞。日本のカレールーにはほぼ全てクミンが入っているといってもいいでしょう。
種の状態のクミンシードと、挽いた状態のクミンパウダーがあります。
クミンは様々な食材と相性がよく、カレーはもちろん鶏肉などの香り付け、ピクルスやマリネなどに用いられます。
グリーンカルダモン
インド原産のスパイスで、数多くのスパイスの中でも香りの良さから大変に珍重されています。清涼感のある香りが特徴で、ターメリックと同様ショウガの仲間。油の中で熱し、香りを移して使います。
また、インドでは紅茶に入れてその香りを楽むようです。
代表的な種類としては、さわやかな味わいを持つグリーンカルダモンと、官能的で濃厚な刺激を持つブラックカルダモンの2種類があります。
クローブ
常緑高樹のつぼみを乾燥させたスパイスです。
日本では丁子という名前で知られ、古くはお香や薬としても使われていました。
バニラに似た甘い香りをもち、料理の香りをまろやかにします。
ひき肉との相性がよく、ひき肉の煮込みカレーなどに使うと、豊かな香りを堪能できます。
コリアンダー
地中海沿岸の原産のスパイスで、カレーパウダーや「ガラム・マサラ」の主材料として用いられます。種と葉をスパイスとして用い、香りを楽しみます。
羊をグリルするときなどに使われたり、タイの香菜(パクチ−)と一緒に使われることも多いようです。カレーのとろみの元となり、陶然とするような奥の深い香りを料理に加えます。
シナモン
クスノキ科仲間の樹皮を乾燥させたスパイス。
日本でも古くから親しまれており、肉桂の名で奈良時代ごろから使われていました。
ほのかな甘みと、辛味、なによりも芳醇でさらりと流れるような豊かな香りが特徴です。
お菓子やカレーなどの煮込み料理、鶏肉の匂い消しやコーヒーのアクセントまで、様々に活躍する懐の広さを誇ります。
ジンジャー
日本ではショウガとして有名なスパイス。
すっとするさわやかな香りと、刺激のある辛味が特徴。
原産は東南アジアで、3,000年以上前から料理に用いられていました。
市販のカレーにすり下ろしたジンジャーを加えるだけで、香りが豊かになります。
カレーだけでなく、レバーなど内臓料理の匂い消しや、スープの香り付けとしても使われる万能スパイスです。
スターアニス
中国原産のモクレン科の木の実を乾燥させたスパイス。
日本でも豚の角煮などの香り付けとして使われています。
八角形であることから、中国では八角の名で親しまれています。
鼻の奥に広がる甘い香りと、つんとしたさわやかな辛味が特徴。
内臓の臭い消しや下味付け、カレーをまろやかにするためと幅広く活躍します。
ターメリック
カレーの黄色の素になるスパイスです。
熱帯のアジアが原産のショウガの仲間の多年草で根の部分をスパイスとして用います。
日本では、ウコンとも呼ばれ沖縄などではお茶としても有名。
ピリッとした辛味と、さわやかな香り、ほのかな苦味が特徴です。
また、インド料理店の厨房などでは、指を切ったときなどにターメリックで傷口を押さえます。
ディル
地中海沿岸を原産とするセリ科の植物を乾燥させたもの。
後味のすっきりとした芳香があり、鮭などの魚料理によく合います。
また、マリネやドレッシングのソースとして生のまま使われることも多いようです。
ナツメグ
ニクズク科の果実から採られるスパイスで、モルッカ諸島が原産です。
ナツメグはこの果実の中でも、種の核の部分を指し、種の仮種皮はメースという香辛料になります。
両方とも羊肉やジャガイモとの相性が抜群で、甘くねっとりとした刺激的な香りは焼くときに用いても、煮込むときに用いても料理の最高のアクセントとなります。
フェネグリーク
カレーを作るのに決して欠かせない重要なスパイス。
地域によっては、メティとも呼ばれます。
マメ科の植物であることから、豆料理との相性は抜群。
セロリのような高い香りを生かし、カレーや牡蠣などの魚介類の味を引き立てる下味として使われます。
フェンネル
セリ科の植物で、南ヨーロッパが原産地とされ、日本では茴香(ういきょう)と呼ばれます。
葉、種、茎全てがスパイスとなり、種の甘い香りや葉や茎のさわやかな香りを生かして、豚肉の匂い消しや、スープの香り付けなどに多用。
インドでは砂糖にフェンネルをまぶしたものを食事の最後に食べますが、これは口臭を抑える効果があるためとされています。
ブラックカルダモン
ビッグカルダモンとも呼ばれ、2cmほどの大きさになるカルダモンです。
普通のカルダモンよりも強い芳香を持ち、すこし薬のような香りがします。
実をそのまま使うのではなく、油の中で熱することで、油に香りを移して麺類などの味付けに使うことが多いようです。
ブラッククミン
クミンと名が付きますが、クミンとは全くの別物。
キンポウゲの仲間で、辛味、芳香と共にかすかな苦味があるのが特徴。
特にベンガル地方で珍重されます。
パンやケーキの香り付け、インドのミックススパイスである「ガラム・マサラ」の原料としても名高く、カレーに香り高く上品な味わいを加えます。
ブラックペッパー(黒胡椒)
日本で胡椒といえば、このブラックペッパーを指します。
コショウ科の植物で、未熟な果実を乾燥させたもの。果実成熟の度合いによって、ブラックペッパー・ホワイトペッパー・グリーンペッパーと名が変わります。
ブラックペッパーは最も香りが高く、風味も豊かです。
さわやかで刺激の強い辛味が特徴で、肉の下味付けからシチューの仕上げまで、あらゆる料理で使われる、最も有用なスパイスのひとつです。
ホワイトペッパー(白胡椒)
コショウ科の植物で、完熟した果実を乾燥させたものです。
ちなみに、未熟な実を乾燥させたものが、ブラックペッパー(黒胡椒)です。
ブラックペッパーと比べて当たりが柔らかく、すがすがしい香りがするのが特徴。
日本ではよく、ブラックペッパーとホワイトペッパーのパウダーを混ぜ合わせて使うことが多いようです。肉料理の下味付けから、スープの仕上げまで使える万能スパイスです。
マスタード ホワイト/ブラウン/ブラック
アブラナ科の植物の種のことで、西洋・東洋を問わず古くから愛用され、特に南インドでは非常に珍重されています。
ホワイト、ブラック、ブラウンの3種類があり、ホワイトは甘味のあるさわやかな辛さ、ブラックは強く刺激的な辛味を持ち、料理に合わせて使い分けます。
ホールのままドレッシングに用いたり、ペーストにして肉料理のアクセントとして用います。
メース
ナツメグの種の仮種皮だけを集めた香辛料で、ナツメグよりも高級品とされています。
ナツメグを上回るその胸のすくような香りと、鮮やかな紅色が特徴。特にマトンなどの匂いのきついひき肉料理との相性がよく、ペッパー、クローブ、シナモンと合わせて、世界の4大スパイスとして珍重されています。
レッドペッパー
中南米原産のナス科植物。日本では唐辛子と呼ばれます。
世界中に様々な種類があり、風味・辛さも千差万別。それだけ世界中で愛されているスパイスと言えるでしょう。
スパイスとしてだけでなはなく、スープの具材としても使われる、「辛味の王様」です。
ローリエ
月桂樹の葉を乾燥させたもので、ヨーロッパの料理にはなくてはならないスパイスです。
角のないやさしい香りと甘みをもち、トマトを使った煮込み料理やブイヨンのにおい消しに最適。ただし、生の葉を使ったり、長時間煮込むと強い苦味が出るのでご注意ください。